「できない」と「しない」の境目。考えればどれだけ自分が切望しているかがわかる。 「できない」と「しない」の境目。考えればどれだけ自分が切望しているかがわかる。

健康の話
「できない」と「しない」の境目。考えればどれだけ自分が切望しているかがわかる。

しゅり
40代
心理カウンセラー
1児のママ

こころ循環サポーター心理カウンセラー高木です。

今日はカウンセリングの現場のお話。

 

末期癌の宣告を受けた方がいました。

お子さんが生まれたばかりの若いお母さんでした。

私自身が数年前に癌を経験した経緯もあり

ご相談を受けることがあります。

本当は経験があってもなくてもカウンセリングするのに

何も違いはないのですが、受ける側としては少しでも

心情が分かる人、同じ想いをした人に聞いて欲しい

と思うようです。

 

逆を返せば、『同じ経験をしていない人には理解されない』と

決めてしまっているところがあります。

それほどにいのちの瀬戸際に立たされた時、

人は壮絶な孤独に苛まれるなと感じます。

 

「治療しなければ半年の命。

治療しても1年~2年の延命

 

と言われて治療を頑張る気力がない

希望もないのにこんな苦しいこと続けられない

 

家族も病院も続けろ、頑張れの1点張り。

辛いと訴えると精神科へ入院するよう勧められた」

と泣いていました。

 

「悔しい。辛いと思うのは病気なんですか?

頭ははっきりしているのにそんなところに入院したら

頭もダメになりそうで怖い。

私は癌だけど精神は健康なんだ!

 

そんなにも治療を止めたいと強く願っているのに

みんなが反対するからやめられない。

 

どうしてみんな私の人生なのにそんなこと言うの???」

 

そう話していました。

 

でもそれって本当かな?

周囲に反対されても治療を止めてもいいけど出来ない。

しないのは自分ではないかな?

 

「そうすることのメリットがあると思うのですが、

それを聞いてご自身ではどう思われますか?」

 

そう質問すると

 

「分からない」と答えました。

  

最後の時間を大事に生きたい。自分らしく生きたい。豊かに生きたい。

みんなに自分の意思を尊重してもらって頑張れ頑張れと

自分が希望を感じる方法をサポートして欲しい。

 

治療をやめたいけど止めることで負うリスクを一人で抱える勇気がないから

愛する人や信頼を寄せる人に応援して欲しいのです。

または、誰かにリスクについて保証して欲しいのかもしれません。

 

家族はなぜ受け入れられないのか?

病院はなぜ受け入れられないのか?

それぞれが大切にしたいことはなにか?

を考えてみる余裕は彼女にはないので一緒に考えてみることにしました。

 

〇家族(配偶者)の思考

彼女がいるだけでいい。存在だけで価値がある。

何もしてもらわなくていい。だから治療をやめてその時間が短くなることが恐怖でしかない。

到底受け入れられない。

→家族にも受け入れるための時間が必要だし、気持ちへの共感が必要。

でも、自分が進みたい道は自分で決めていい。

相手の望みを叶えることにメリットがあるうちは決められない。

 

〇病院側の事情、思考

→目の前にいる人に最善を尽くすのが先生たちの使命。

手を抜くことはできないし諦めることもできないと感じている。

ここは主義主張の違いなので分かり合えることは諦めた方がいい。

先生だって寄り添いたいけど出来なくて悩んでいる人もいる。

 

誰かにリスクを負わせるのではなく

リスクは自分が背負うものだとして決めることが

標準治療をやめる、という決断です。

 

『何かが揃ったら止める』ではなく『今やめる』と決めることもできる。

決めるとはそういうことなのだけれど、

この決断が怖い!

 

結局その場で治療に対してどうするかの明確な答えは出なかったけれど、

決めない理由を考えてみたことで

どれだけ自分が切望しているかを知ったし、

それぞれの大切なことに触れることで

自分ではどうにもならないと捉えていた人生の残りの時間について

自分で動かせることがあるんだ。

そうすることが自分にとっての生きるということなんだ。

 

ということに気が付くことができ、目には光が宿り

エネルギーに満ちた様子になってその日の対話は終わりました。

 

深刻な内容だから怖いのではなく、実はすべての決断に共通しています。

 

決めるのも自分

決めないのも自分

 

やるのも自分

やめるのも自分

 

そう強く思ったカウンセリングでした。

No:93

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