『勇気づけ』で子どもが伸びる
しゅり
40代
心理カウンセラー
1児のママ
「成果ばかりをほめるよりプロセスに注目することが大切」というお話。
実はアドラー心理学の考え方に由来します。
嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラー」の教え~
岸見 一郎/古賀 史健:著
定価:本体1,500円+税 発行年月:2013年12月
という本は国内累計208万部、世界累計485万部の大ヒット。2015年に舞台化、
2017年には同書を原案としたテレビドラマがフジテレビ系で放送されたのは
記憶に新しいのではないでしょうか?
人気の秘密は『勇気づけ』という考え方が
人を育てる際に大変有効だという点です。
勇気づけ(encouragement)とは、人との関わりにおける理論・技法のことで、
自分や相手に「困難を克服する活力を与えること※」とされています。
※ヒューマン・ギルドの講座ELMにおける定義
褒めるのと何が違うの????
とお思いでしょうが、別の記事でもお話したように
子どもの行動を叱ったりほめたりすると
叱られないように、ほめられるように行動するようになります。
その場合相手の評価に自分の価値や気分が左右されます。
ひいては、ほめられないとしない。叱られることは陰でする。など
望ましくない行動につながります。
『勇気づけ』をすると、子どもは自立へ向かい、
自分を信じ好きになるとともに親を信頼するようになります。
そしてご褒美や罰がなくても自らの意欲に掻き立てられて
貢献する行動に出るのです。
ではどんな風に言葉かけしていくのでしょうか?
① 行動の結果ではなく努力したことやプロセスに注目!
頑張った点、こだわったところ、など子どもの思考や気持ちを
丁寧に聞き共に味わいましょう。自分の喜びや達成感、相手の喜びを
行動の目的にするようになります。
② 成功した時だけでなく失敗した時も!
成功したら『嬉しいね』失敗したら『がっかりしたね』と気持ちに寄り添います。
共に感じる、を大切に!
③ 子どもを一個人として扱い人格を尊重する
赤ちゃん扱いして先回りしたり、出来ない前提で指示命令、提案などせず、
今の子どもの能力でできることを実感させる、を意識して見守りましょう。
信頼されていると感じることで親への信頼も深まります。
④ 対等の関係(上下関係ではなく)
親も子も同じ人間で、不完全な存在であることを認めましょう。
成長過程の子ども達を採点しようという目でみるのではなく、
失敗もひとつの経験であるという認識で!
そしてなにより、親の失敗、非は素直にみとめること。
親の体面を守る行動は不信感を募らせますし、
間違ってはいけない、というメッセージになります。
⑤ 『ない』ものではなく『できる、ある』ものを認める(長所、能力に注目)
『あーあできなかったね。』『あと少し』ではなく『ここまでやれたね!』
⑥ 過去ではなく未来に視点を向ける(これからどうしたらよいか?)
『どうしてだめだったのかな?』ではなく『どうしたらうまくいくかな?』
尋問したり責めるのではなく解決するための前進する言葉使いを。
⑦ 条件をつけない
ご褒美や条件付きでほめるなどをすることで、
『条件付きの自分』しか受け入れられないのだという認識になります。
無条件で愛されている実感を得ることは『そのままの自分で生きていていいのだ』という自己肯定感に繋がります。
自立と貢献が喜びになる。そんな関わりをしていきたいですね。
アドラー,A:(1870-1937)個人心理学の創始者。人間は何らかの形で心理的・身体的劣等感を持つものであり、このコンプレックスを克服するために権力への意志を持つと考えた。フロイトに師事していたが、1911年に性的体験説をとるフロイトと決別する。アドラーは、人々が未来の達成目標を当人と他者との関係、問題解決の行動、そして自ら設定した目標からなる「ライフスタイル」と呼んだ。彼は生物学的な要因よりも社会的な対人関係を、そして性欲よりも自己実現の努力を重視し、障害物を乗り越えて目標を目ざすと考えた。(立木康介監修『フロイトの精神分析』,日本文芸社,p280,2007年第4刷)
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